多様性のある微生物の働きは、植物の生育に重要な土壌環境を整えてくれるなど大きな影響を与え、微生物の棲みかとなる堆肥を土壌に補給する事は地力維持に繋がります。
そらくも農場では、近所のきのこ農家で使われた菌床と米ヌカを混ぜ合わせ、半年から1年再発酵させた菌床たい肥や、山林から枯葉を集め、米ヌカとミネラル資材と一緒に土の中にすき込み、発酵させる枯葉たい肥、植物残さを山積みにして発酵させるなど地域循環可能な資源を利用して、自家製堆肥作りをおこなっています。
魚粉、大豆粕、海草、米ヌカなどの良質有機肥料と、サンゴの化石肥料などの天然ミネラル資材を圃場(ほじょう)状況や栽培作物ごとに施肥設計する事で、無駄なくバランスの取れた土壌成分を維持します。
作物の生育に必要な栄養素が土壌中にバランスよく十分にある事が、健全生育に繋がり、良質有機肥料は作物の味に大きく影響します。
水稲(90a)、大豆(120a)、麦(20a)、野菜の栽培におて栽培期間中農薬不使用栽培をおこなっています。
自家製たい肥による土壌環境づくりや、良質有機肥料と天然ミネラル資材のバランスの取れた施肥により植物の健全な生育を施し、耐病性や植物の自己治癒力を高める事で農薬不使用栽培ができます。
お田植4日後から田の除草作業が始まります。田の水を全体にかき混ぜるだけなのですが、水が濁る事による雑草の抑制効果と同時に水中に酸素が取り込められ、稲の根の生育を助けます。しっかり、がっちり育ちます。
田植えから約1ヵ月半、除草作業が続き、根に酸素が供給されるのです。
収穫した稲穂は秋風と太陽に当て、ハゼ掛け天日干しや穂苅天日干しをして乾燥させています。
近年、収穫期の長雨や乾燥した秋風が吹く日が少なく、自然の力では十分に乾燥できない事が多くなってきました。籾の乾燥不足は、お米の品質低下を招くので、微調整の乾燥は機械で行っています。二度手間、三度手間の作業なのですが、晴天の日に干された洗濯物やお布団の香りや着心地、居心地の良さを感じるように、太陽と秋風の力を信じずにはいられないのです。
【ハゼ掛け天日干し】写真のように、稲の束をハゼ(木の棒の支柱に、長い竹竿のような丈夫な棒を縛り付けたもの)に掛けて、天日干しすること。
【穂苅天日干し】コンバインで刈った稲を、温室や軒下で広げて天日干しすること。
収穫の終わった田には稲わらが残ります。稲わらを細かく刻み田になるべく均等に散らします。
米ヌカとミネラル資材を施肥し、耕運する事で秋から冬の間にゆっくりですが有機物の分解を促進させます。
春、気温上昇と共に有機物の分解から出るガスの発生をできるだけ少なくし、稲の苗の活着や生育を妨げないようにしています。
大豆と水稲を一定の周期ごとに交代して作付けすることで、畑と水田が交互に入れ替わるため陸草と水草の発生を抑制し草取り、草刈りの手間を軽減する事ができます。また水田の水稲栽培では、水と共に多くのミネラル分が土に補給され、大豆栽培においては根粒菌の効果により地力を増進させます。輪作は、病気や害虫の発生の増加を防ぐ効果があり水稲、大豆共に増収にも繋がります。
10月~11月頃に大豆は葉を落とし、茎と鞘(さや)だけになり収穫期を迎えます。鞘の中の大豆は水分が多く柔らかく脱穀しても豆が割れたり傷ついたりして品質の低下を招きます。大豆を枝ごと束ね立て、ビニールハウスなどで天日で2~3週間ほど乾燥させます。十分に乾燥させ、大豆が鞘から弾け出したところで脱穀作業を始め品質維持に努めています。
脱穀後の大豆殻は、全量畑に散らし米ヌカとミネラル資材を施肥して有機物の分解を促進させたい肥化します。
収穫した大豆(豆)以外の物は畑から持ち出さない事で、地力維持に努めています。
土作りと、バランス良い施肥技術が農薬不使用栽培を行う上で大切ではありますが、作物の生育に無理のない環境を整える事も病害虫の被害を軽減させる大きな要因となります。露地栽培野菜においては作物ごとの害虫被害の多い時期の作付けは避け、育苗技術や簡単な被覆材や保温資材を利用した、早出し、遅出し栽培を心がけています。施設栽培においては冬季の害虫の発生が少ない時期にほうれん草、小松菜、ルコラなどの葉物野菜を中心に栽培し、春から晩秋にかけては、天井ビニールによる雨除け、防虫ネットの設置や温度管理が可能な施設栽培の利点を生かしトマトとキュウリを栽培しています。